生徒会長様の、モテる法則
4-4 意外な一面
「…、うむ…」
紙に書かれた相関図は、自作である。
海ちゃんはユキ君が好きで、ユキ君は…、謎。
要冬真は海ちゃんが…、好き?かは解んないけど疑い濃厚…。
私は…。
思わず、相関図に“私”と書きかけたシャープペンの動きが止まった。
いやいや、私は傍観者でしょ。
翌日、すっかり元気になって登校してきた要冬真の後頭部と全くノートととしての役割を果たしていない落書き帳と化したそれを見比べる。
…、本人に…聞いてみるか…?
書きかけの“私”を黒く塗りつぶした所で、授業終わりのチャイムが鳴った。
非常に素晴らしいタイミングである。
「おい、顔貸せや」
早速、ヤツの机の上に立つと、思わず喧嘩をふっかけるような文句になってしまった。
なんか、反射って怖い。
別に変な意味で呼び出そうって訳でもないのに。
私が教室でヤツに話しかけたのは初めてだからか、少し周囲がどよめいたのを感じたがとりあえず無視。
要冬真はゆっくり立ち上がり、無言で私の言葉に応じるように此方を見下ろした。
でかい。
改めて感じた身長差に戸惑いながらも、歩き出すとヤツも後ろに続く。
まるで、今からタイマンを張りにいくような重い空気が辺りを漂い、クラスのみんなが遠巻きに私達を観察するような視線を寄越していた。
私達の仲の悪さを知っているからこその反応だろう。
教室から出れば小さな悲鳴と、人でも殺しそうなオーラでも放っていただろうか、自然と道が開ける。
ちなみに、私は緊張していただけで人を殺そうとは思っていない。
昨日殺されかけたのだ(フォークで)。
しっかり気を保ってないと、私、ヤられる。
二人きりになれば殺されるかもしれない。
しかし、皆がいる場所で「好きな人いる?」的なかなりプライベートな質問は御法度だ。
バカな私でもそれくらい解る。
頭の中でグルグル考えて、結局思い付かないまま適当に歩き、気付けば“愛と憎しみが溢れる場所・屋上”の扉に手を掛けていた。