しーくれっと
『カランカラン』


店のドアが開く。


入ってきた人物、それは少年であった。


「・・・ちっ」


その少年は店を見渡した数秒後、舌打ちをし、目を鋭くさせる。
店員はいない。客は二人。その内の一人は古ぼけた洋服を身にまとい、黄土色の、しかししわくちゃで、泥がついていて、破れてダメージのあるコートを羽織っている中年の男性。


もう一人は真っ赤な、よくセレブが着そうなワンピースを着ており、よくみてみるとスカートの部分が荒々しく丈を短く切ってあるようだ。二十五、あたりの、水商売なんかしてそうな顔つき、メイク、髪型をした女性。


少年とセレブ系女性に貧乏くさい男性、というのはいかにも不釣り合いな絵だった。


それぞれ少年含め三人は別々のテーブルに座る。


中年の男性は所謂(イワユル)貧乏揺すりというをして、眉間にシワを寄せ、口をへの字に曲げていた。


ワンピースの女性は自分で注いだのか、ウイスキーを飲みながら携帯電話のボタンをかちかち、と押している。メールでもしているのだろう。しかし顔が険しい。


そして少年はというと、約十八・・・くらいの歳だろう。その年齢で金髪の頭にいかに


も不良そうな格好をし、部屋を再度見渡していた。
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