溺れる唇にキスを




「バカ汐音!
そんな顔するくらいなら
ちゃんと話してきなさいっ!」


バシッとあたしに喝を入れた
田所ちゃんは、2年生の教室を
通り越して、階段を下っていく。


階段を下りるって事は、
必然的に1年生の階まで
降りるってことで。


…っ!


颯に、会えって事?


「田所ちゃっ「話してきて!
そんな汐音、見てられない」


1年7組と書かれた
プレートが下がる教室について、
かすかに手が震えているのがわかる。


一週間、颯に会ってないだけなのに。

こんなにずっと
会ってない気がするなんて。


ああ、ダメだ。


ここまで来たら完ぺきに
颯の顔が見たくて
しょうがなくなってる。


『汐音っ』


そう言って、笑ってくれる
颯の顔が頭に浮かんできて
恋しくなる。


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