溺れる唇にキスを
「あのっ…」
ドアの一番近くにいる
ふわふわ茶髪の天パの
男の子に声をかけると。
「あぁ?あー!!」
はじめは不機嫌そうな声だったのに、
次の声は、驚きに染まった大きな声。
…あたし、
叫ばれるようなそんな変な女?
叫ばれる理由が見つからなくて。
首をかしげてしまう。
「先輩!颯が言ってた先輩だって!
ほら、角田(つのだ)先輩」
颯が、言ってた先輩?
ってあたしのこと?
話がうまく掴めなくて、
結局その男の子の前に
立ち尽くして無言のまま。
その間、集まってくる
男の子たちに、怯えかけたり。
「あの…、颯いる?」
「あー……颯、風邪かなんかで
3日前くらいから休みっすよ」
「颯が休むとか、かなり珍しいから
季節外れのインフルエンザかー?とか
言ってたんですよね」