溺れる唇にキスを
あたしの後ろの、姉貴?
「あー!!」
今回叫ぶことになったのは
あたしで。
え!?あたしの後ろって、姉貴って。
「た、田所ちゃんの弟?」
「ってことになりますね。
俺、田所 要(たどころ かなめ)っす」
自転車置き場から、
ガチャガチャと音をたてながら
自分の自転車を出す彼を
じーっと見て。
ああ、なんとなく似てるかも。
少しぽてっとした唇とか、
奥二重ぎみの眼とか…。
「そんなガン見しない下さいって。
颯に殺されたくないんで」
「颯になんで殺されるのよ」
「先輩、知ってるくせに
しらばっくれるんすね」
ズルイっすよって笑って、
後ろ乗れます?って
自転車の後ろを叩いて。