溺れる唇にキスを
「しーのっ!」
近づくたびに香る、
チョコレートの匂いは
頭のなかをクラクラさせる。
颯について知った事。
あたしより一つ年下で、
甘いものが好きで、
実はものすごく有名人ってこと。
「颯くん、いらっしゃーい」
にこやかにかつ、
当たり前に颯を受け入れる
あたしのクラス。
本当にありえない。
なんでそんなに当たり前なの!?
「しーの、来ちゃった」
「なんで来るの…。暇人なの?」
本当にあきれちゃう。
一年生って今日、集会あるんじゃないの?
「汐音に会いたいから来るんだよ。
汐音を知りたいって
思ってるだけじゃダメ?」
捨てられた子犬のような
うるんだ瞳に思わず
うっと怯んでしまう。