性感染症の現状~5分で読めます
Aはいつだって、私を頼りにしてくれました。
いつも、今忙しいですか?後で話聞いてもらってもいいですか?って…
でも私が忙しすぎるあまり、待機室にはほとんど戻れず、
気づけば早番のAは帰ってしまっていた…というのがしょっちゅうでした。
女の子同士のアドレス交換が厳しく取り締まられていたため、
話すらまともに聞いてあげられない。
彼女のために、もっと私にできることがあったんじゃないか。
私の心に、未だに引っ掛かっているのです。
彼女は一度退店したものの、家の借金のために出戻りし、それでもやはり辛くて辞め…
しかし結局風嬢をあがることはできず、家のために今は別の店で働いていると、風の噂で聞きました。
ボロボロに傷ついた体で…
――止めた方が良かった?
止めたところで、彼女の家族の生活が大変になることは目に見えている。
――私が稼いだお金を、渡していれば何とかなった?
母子で働いても足りないのに、そんな大金…私には工面してあげる勇気なかった。
たとえ少しばかり援助してあげたところで、一時凌ぎにしかならない。
彼女のことも母親のことも、私は救えなかったのです。