櫻。
「なんだ、ここは。不愉快だ。」
二人組の客が何だか騒がしい。
いや、正確には二人組の片方が騒がしかった。
態度もでかいが、図体もでかかった。

「なんだぁ、ありゃあ。」
さっきまでの機嫌が、嘘みたいな享楽。
不愉快そうだ。
「あの客は、沼田 洋之江助って人で、どっかの城の支えらしいんですよ。全く迷惑な。」
女たちも不愉快のようだ。

「もう一人は?」
「九十九 清之津。彼は静かで、いい人だよ。顔もかっこいいし。」
先程の説明とは、えらく違った。
女ってのは、いつの時代もはっきり言うから怖いよな。
「ふーん。そうか。」
酒を飲み干し、享楽は城に戻った。


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