櫻。

違和感を感じながら、享楽は城内を攻め込んだ。
しかし、入る前に立ちはだかった男がいた。
どこか見たことが……
男は名乗る。
「俺の名は、沼田 洋之江助。行くぜ。」
迷惑な客野郎だった。

洋之江助は腕を高く上げたまま、大きく一歩入り、豪快に振り下ろした。
「とった！」
にやにやと笑いをこぼした。
「なに、笑ってんだぁ？」
享楽はあくびをしながら、肩に刀を置いていた。
「なっ！？」
「見えるんだよな。動きがよ。」
気が付けば、享楽は洋之江助の懐に入っていた。
そして、一斬り。
傷は深く、洋之江助の顔が引きつった。
手応えは確かだ。

「はぁはぁ、負けるわけにはいかねえんだよ。」
血を流し、顔色も悪い。
洋之江助はふらふらしていた。
「俺は殺生が嫌いだ。けど、武士は……いや、漢だったら戦で死ぬのが夢だろ？だから、手加減はしないぞ。」
そう言って、享楽は刀を振り、洋之江助を斬った。
洋之江助は静かに、笑いながら倒れた。