櫻。
「なんだおまえ?」
「斬るぞっ。」
後ろが何だか騒がしい。
起き上がり、振り向くと、三十メートル先で三人の野武士がいた。
野武士の前には、一人の男。
こいつも野武士のようだ。
野武士同士の喧嘩。

止めにいこうと、享楽は立ち上がったときには終わっていた。
すでに三人の野武士は斬られていた。
享楽はそのまま、ただ見ていた。
男は享楽に気付いたのか、こちらに近づいてきた。

雰囲気からして、この男はやばい。
享楽の勘がそう感じた。
歩幅を変えず、静かにゆっくりと。
しかし、なぜか享楽は落ち着いていた。
いや、落ち着いていただけじゃなく、笑っていた。
強者を前にして。


< 6 / 23 >

この作品をシェア

pagetop