櫻。
「あんさん、なんかようか?」
男は享楽の前に立った。
「いや、風にあたりに来ただけ。」
享楽は男を見つめ、男は享楽を見つめていた。
「名は何ていうんだ。」
「俺かぁ、俺は享楽。お前は?」
「享楽?聞いたことあるな。俺は、鍛冶屋 万代。属さない武士だ。」
言い終わると同時に、万代は刀を抜いた。

カキンッ、と鋭い音がした。
刀と刀がぶつかっていた。
享楽もすぐに反応し、刀を抜いたのだ。

「いいのか?刀を抜いちまったら、遊びじゃねぇぞ。殺し合いになるぞ。」
享楽は笑いながら言った。
「当たり前だ。」
刀を払い、万代は斬り掛かった。


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