それでもわたしは生きている

見知らぬ男達に拉致されたんだ。

マサトさんだって、あの状況で、私が何をされるかくらい分かっている。

そして、万が一殺されでもしたら…

きっと…
拉致された私より必死になってくれたに違いない。



山や港、そういった車が行きそうな場所へパトカーが84台出動したらしい。



事件とは、私だったんだ…



正義のヒーローは、自分の力をどこに使うべきか知っていた。

あの時、一緒に車に乗る事に何の意味があっただろう。

4対1では助けられない。

ヒーローは、数字を記憶することに専念し、ひたすら走ったんだ。


日本の警察もなかなかやるじゃない。

ちゃんと私を見付け出してくれた。



ありがとう



この後、刑事による事情聴取が朝まで行なわれた。

ひと通り聴取が終わり、部屋から誰もいなくなった時、私は窓際に立ち、下を見た。


ここは何階やろう…
結構高いな…
落ちたら死ねるかな…


初めて死を考えてしまった。


中学2年からの2年の間に、6人の男達にレイプされて、好きな男とは何も出来ず…

なんか…
なんなん…?男って…
なんでこんなこと…
何が楽しいんよ…

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