それでもわたしは生きている

下ばかり見つめていると、そんなことしか考えられない。

本気で死にたくなってくる。

しばらく、ずぅっと下にあるアスファルトと見つめ合っていたが、何気なく顔を上げ、正面を見た。



夜明けの、ほんの一瞬だけ見える紫色の空に、オレンジが少しずつ顔を出し始め、その2色がなんとも言えず綺麗な朝の涼しげな景色…


あぁ…
キレ…イ…


さっきまで真っ暗闇の中で黒鬼達に囲まれ、こんな景色2度と見れないと思った。

でも、夜は明けた。

さっきまでの荒々しい出来事は夢だったのか…

そう思うほどの、静かで、澄んだ朝…

何も頼んでないのに太陽は私に眩しい光をあてる。

朝日を見てると不思議と死にたい気持ちが薄れていく。


私は大きく息を吸い、思い切り吐いた。

笑ってみた。

この空を、私はキレイと思える。

こんなキレイな空があったんや。

私は生きてる。

あんなくだらん男達の為に自分が死ぬなんて…

勿体ない!
そう!勿体ない!

私は死なない!
死ぬもんか!

忘れる事は出来ないけど、ちゃんと生きてやる!

こうやって、闇は明けて、必ず陽は登るんやから!



もう一度、大きく深呼吸をした。

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