それでもわたしは生きている

ブスッ…


自分の痛みを父に知らせる為に、弟は台所にあった包丁で父を刺した。



「お父さん…痛い…?血ぃ出たら痛いやろ?なぁお父さん…痛いやろ…?僕も…痛いねん…」



幸い命に別状はなかったが、弟はまた施設に入った。




父は2度と弟を迎えに行くことは無かった。



10代の子供達が色んな経験をしてゆく青春時代。

弟は18歳までの8年間、施設の中にしか居場所が無かった。


幼い頃に両親のどちらからも愛情を受けずに育った子供は、心の中の何かが壊れてしまうのだろうか…

< 6 / 212 >

この作品をシェア

pagetop