それでもわたしは生きている
ふたりきり
ナオキと2人で住んでいた部屋で、今度はソウタと2人で生きていく。
3人にはなれなかった。
少しだけ残された貯金で3ヵ月間、自分の体力と心の傷の回復に努めながら、産まれたばかりのソウタに母乳をやり、オムツを取り替え、なんとか生きていた。
だが、そろそろ働き出さなければ家賃が払えなくなる。
自分で勝手にグレてやってきたことだ。
母に頼るなんてできない。
働くとなったら色々と夢が出てきた。
まだ21歳、やりたいことも沢山ある。
哀しみの中にも少し、楽しみも出てきた。
ソウタを保育園へ預け、私はデパートのエレベーターガールの面接へ向かった。
今まで、水商売のバイトくらいしかしたことのない私は、キレイなお姉さんがキレイな声で、スッと立って案内する姿に憧れた。
何もわからない。
取りあえず、水商売の時に着ていたスーツで1番地味そうなのを選んでみた。
テレビで見たことがある!
オジサンが4、5人座ってて、その前に1列に同じように4、5人、私と同じ立場の人間が座る。
そして、オジサン達に質問され、順番に答えていくんだ。
こんな面接初めて!
ドキドキするけどワクワクする!