それでもわたしは生きている

当時の職業安定所は、今のようにパソコンで条件を絞り込んで探せる時代じゃない。

1枚1枚紙をめくって探していく。

時給800円で、場所も時間帯もいい感じの事務の仕事を見付けた!

その紙と履歴書を相談員のいるカウンターへ持っていき、企業に連絡をとってもらうんだ。

でも、きっと連絡をとってもらう以前の問題。

私の履歴書を見た相談員の顔が変わった。


やっぱムリか…


職安も同じか…と、諦めかけたその時

「今日、今から面接行ける?」

相談員が聞いてきた。

「え?あ、はい…」

相談員は企業に電話をかけた。

「あ、もしもし、1人面接お願いしたいんですけど。今から行ける言うてるんやけど、よろしいか?」

電話を切った相談員が私に言った。

「面接してくれるって、今から行って。はい、これ地図ね。」

「あ、はい…ありがとうございます。」

私は呆気にとられた。

相談員は私の年齢しか相手に伝えなかった。

学歴も…
子供のことも…
これでいいのか?

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