悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
私は独り、音楽室に入りグランドピアノの前に座ると譜面を眺める。
踊っている音符にため息をついて許されるような段階じゃない。
見慣れて、既に頭に入っていなきゃいけないんだけど、ね。
それは、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフが10代の時に作った『悪魔的暗示』という曲。正確には「4つの小品」の第4曲、らしい。
渡されたのが、この楽譜だけだし詳しいことは調べてないからよく分からない。
それに、正直、今はそんな暇も無い。
指を早く動かさなきゃいけないっていうのと、破壊的ってところでは確かに『剣の舞』にも通じるところがあるのかもしれないけれど。
なんていうのかしら。
ハチャトゥリアンの『剣の舞』が高音が綺麗に踊っている曲だと表現するとすれば、こちらは低音が主流で破滅的に何かが忍び寄ってくる曲って表現すればいいのかしら?
少なくとも、『剣の舞』を初めて耳にしたとき、衝撃的な現代曲だと思ったのだけれど、『悪魔的暗示』と聞き比べてみれば、私にとっては『剣の舞』の方がずっとポップで可愛い曲に思えてしまう。
そのくらいの、あの『剣の舞』の衝撃の、斜め上を行く衝撃が走ったの。
これを、初めて聴いたとき。
とにかく、出だしが不気味と言ってもいいほどの低音のモチーフ。
ただ、これを不気味だとか言っても仕方が無いの。だって、このモチーフこそが作品全体を支配しているんだもの。
しかも、和音の急速な連打。不協和音の響きは背筋をぞくっとさせること間違いなしだし、右手は冗談みたいに早く動かさなきゃいけないし。
とにかく、3分もない曲なのに、一回弾くとぐったりしちゃう。
それでも、こう。
他の曲にしたい、とは言いたくないのよね。
手放せない魅力を秘めている、素晴らしい曲。
私はしばらく指慣らしをした後で、覚悟を決めて一度『悪魔的暗示』を通しで弾いてみることにした。
踊っている音符にため息をついて許されるような段階じゃない。
見慣れて、既に頭に入っていなきゃいけないんだけど、ね。
それは、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフが10代の時に作った『悪魔的暗示』という曲。正確には「4つの小品」の第4曲、らしい。
渡されたのが、この楽譜だけだし詳しいことは調べてないからよく分からない。
それに、正直、今はそんな暇も無い。
指を早く動かさなきゃいけないっていうのと、破壊的ってところでは確かに『剣の舞』にも通じるところがあるのかもしれないけれど。
なんていうのかしら。
ハチャトゥリアンの『剣の舞』が高音が綺麗に踊っている曲だと表現するとすれば、こちらは低音が主流で破滅的に何かが忍び寄ってくる曲って表現すればいいのかしら?
少なくとも、『剣の舞』を初めて耳にしたとき、衝撃的な現代曲だと思ったのだけれど、『悪魔的暗示』と聞き比べてみれば、私にとっては『剣の舞』の方がずっとポップで可愛い曲に思えてしまう。
そのくらいの、あの『剣の舞』の衝撃の、斜め上を行く衝撃が走ったの。
これを、初めて聴いたとき。
とにかく、出だしが不気味と言ってもいいほどの低音のモチーフ。
ただ、これを不気味だとか言っても仕方が無いの。だって、このモチーフこそが作品全体を支配しているんだもの。
しかも、和音の急速な連打。不協和音の響きは背筋をぞくっとさせること間違いなしだし、右手は冗談みたいに早く動かさなきゃいけないし。
とにかく、3分もない曲なのに、一回弾くとぐったりしちゃう。
それでも、こう。
他の曲にしたい、とは言いたくないのよね。
手放せない魅力を秘めている、素晴らしい曲。
私はしばらく指慣らしをした後で、覚悟を決めて一度『悪魔的暗示』を通しで弾いてみることにした。