悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「悪魔的暗示って言うの、日本語ではね」
そして、出来ればいましばらく休憩が取りたかったのだけれど。
琥珀色の瞳が穢れない色で、期待をこめて私を見つめているので邪険にも出来ない。
餌をねだる子犬がはちきれんばかりに尻尾を振るのと同じように、彼もこっちに向かって尻尾を振っているようにしか見えないんだもの。
視線が絡むとその紅い唇は、甘いとしか形容できない雰囲気でふんわりと微笑む。
ふぅ、と。
深く息を吸って気合を入れると、もう一度。
私は鍵盤に指を滑らせた。
嵐のような3分弱。
今度は彼は、拍手もしない。
「さっきの方が良かった、かな?」
と、微笑を携えた口許で無邪気に人を傷つけた。
「し、仕方ないでしょう?
まだまだ、練習の段階なんだから」
「そっか。だから、まだ指が回ってないんだねー」
なるほどぉ、と。
クイズの正解でも教えてもらったかのように素直に頷いている。
その態度はどう贔屓目に見積もっても失礼としかいえないはずなのに、何故か。
彼を見ている私の口許は緩んでしまう。
「だから、今からは部分練習よ」
邪魔しないでね、と。
暗に告げる。
了解、と言うつもりなのか。大きな瞳をさらに大きくして、彼は笑った。
「a suo beneplacito」
「え?」
問い返すと、彼はしまった、という顔をする。
悪戯が見つかって怒られる直前の子犬を髣髴とさせる顔に、私はやっぱり笑みが浮かんだ。
そして、出来ればいましばらく休憩が取りたかったのだけれど。
琥珀色の瞳が穢れない色で、期待をこめて私を見つめているので邪険にも出来ない。
餌をねだる子犬がはちきれんばかりに尻尾を振るのと同じように、彼もこっちに向かって尻尾を振っているようにしか見えないんだもの。
視線が絡むとその紅い唇は、甘いとしか形容できない雰囲気でふんわりと微笑む。
ふぅ、と。
深く息を吸って気合を入れると、もう一度。
私は鍵盤に指を滑らせた。
嵐のような3分弱。
今度は彼は、拍手もしない。
「さっきの方が良かった、かな?」
と、微笑を携えた口許で無邪気に人を傷つけた。
「し、仕方ないでしょう?
まだまだ、練習の段階なんだから」
「そっか。だから、まだ指が回ってないんだねー」
なるほどぉ、と。
クイズの正解でも教えてもらったかのように素直に頷いている。
その態度はどう贔屓目に見積もっても失礼としかいえないはずなのに、何故か。
彼を見ている私の口許は緩んでしまう。
「だから、今からは部分練習よ」
邪魔しないでね、と。
暗に告げる。
了解、と言うつもりなのか。大きな瞳をさらに大きくして、彼は笑った。
「a suo beneplacito」
「え?」
問い返すと、彼はしまった、という顔をする。
悪戯が見つかって怒られる直前の子犬を髣髴とさせる顔に、私はやっぱり笑みが浮かんだ。