悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
直後。

誕生日プレゼントを両手一杯にもらった子供さながらの、満面の笑みを浮かべて、潤が私に抱きついてきた。

それは、男性が女性を抱きしめるというものではなくて。
強いて言えば、ぬいぐるみに抱きつく幼子のように、無邪気なものだったので、なんとなく突き放せない。

もっといえば、振っている尻尾さえ見えるような気がしていた。

「ありがとうーっ。
やっぱり、キヨミちゃんは特別だと思ってたんだーっ。
良かった、俺の目に狂いがなくって。
ね、きっと俺たちうまくやっていけるよね?」

最後の一言の意味を図りかねたけれど、宝石を思わせるようなキラキラした眼差しで覗き込まれたら、頷く以外にどうしたら良いのか分からない。

私が頷くと、潤は余計に嬉しそうに、はちきれんばかりに尻尾を振る。

「ありがとうーっ。
さっき、部屋に入ってきたときはてっきりキヨミちゃん、怒ってるかと思ったんだけど、俺の杞憂だよね?
ね?
もー、大好きっ」

満面の笑顔で抱きつかれ、頬に触れるだけのキスをされる。
それを振りほどいて突き放すことなんて、私には出来なくて。

子犬に飛びつかれているような錯覚に襲われながら、悪魔というより、小悪魔ね。
なんて、どうでも良い言葉遊びが頭の中を駆け抜けていった。
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