悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「潤、お待たせっ」
いつの間にか、すっかり恋する女子モードに陥っている私は、一週間前までは出せなかった、やや鼻にかかったトーンの声を出すのが得意になっていた。
ああいう甘えた声って、どうやって出すのかと不思議に思っていたのだけれど、恋の魔法にかかってしまえば、勝手に出てくるものなのね。
音楽準備室の前の、窓際に寄りかかってぼんやりしていた潤は、私に視線を向けると、ふわりと口許を綻ばせる。
そうして、人差し指一本で、『静かに』の仕草をして見せた。
「なぁに?」
私は声を潜めて首を傾げる。
こうやって、斜め下から上目遣いに彼を見上げたら、少しでも彼がときめいてくれないかしら、という、無意識のうちの計算が働いているに違いなかった。
恋する乙女、恐るべし。
「この中で面白いことが行われているんだ……、って、キヨミにこの中は見えないよね。
さ、今日も素敵な音楽、聞かせてくれる?」
何が行われているのかしら?
と、ちらりと思ったけれど。
それは、自然に肩に回された潤の手の重みを感じたことで、簡単に吹っ飛んでしまった。
視線が絡むだけ、言葉を交わすだけ、手が触れるだけ、で。
私の中に、スイッチがあるかのように、心臓が一段早く鳴り始めた。
……これも、魔法?
まさか、ね。
いつの間にか、すっかり恋する女子モードに陥っている私は、一週間前までは出せなかった、やや鼻にかかったトーンの声を出すのが得意になっていた。
ああいう甘えた声って、どうやって出すのかと不思議に思っていたのだけれど、恋の魔法にかかってしまえば、勝手に出てくるものなのね。
音楽準備室の前の、窓際に寄りかかってぼんやりしていた潤は、私に視線を向けると、ふわりと口許を綻ばせる。
そうして、人差し指一本で、『静かに』の仕草をして見せた。
「なぁに?」
私は声を潜めて首を傾げる。
こうやって、斜め下から上目遣いに彼を見上げたら、少しでも彼がときめいてくれないかしら、という、無意識のうちの計算が働いているに違いなかった。
恋する乙女、恐るべし。
「この中で面白いことが行われているんだ……、って、キヨミにこの中は見えないよね。
さ、今日も素敵な音楽、聞かせてくれる?」
何が行われているのかしら?
と、ちらりと思ったけれど。
それは、自然に肩に回された潤の手の重みを感じたことで、簡単に吹っ飛んでしまった。
視線が絡むだけ、言葉を交わすだけ、手が触れるだけ、で。
私の中に、スイッチがあるかのように、心臓が一段早く鳴り始めた。
……これも、魔法?
まさか、ね。