悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
外は相変わらず、ふわふわと春らしい陽気。

「日曜日、なんだけど」

潤の腕を掴んだまま、私は聞く。
手を繋ぐよりもっと、近くなるから。
今は、彼の腕に手を絡めるのが私のお気に入りになっていた。

まるで、鼓動が聞こえそうなこの距離感がとても好き。

「ん?」

見下ろしてくるその柔らかい眼差しが、たまらなく好き。

「私、志保さんと約束していたの、忘れてて」

「大田志保さん?」

突然、フルネームで言われてびっくりする。
もっとも、志保さんと私たちは同じクラスだから、フルネームを知っていてもそこまで驚くことじゃないけど。

……でも、志保さん、思考はぶっ飛んでいるけど、ほら、見た目は可愛いし?

「……そ、そう。
 一緒に舞台を見に行くことになっていたの。
 氷川亮総さんが出る。
 ……知ってる?」

「ヒカワリョウソウ?
 残念だけど、知らないなぁ」

私だって、志保さんが騒いでなければ知らなかったと思う。

でも、最近、少しずつテレビに出るようになってきたから、ちょっとは知名度あがってるのよ? とは、いつかの志保さんの談話。
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