悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「あら、あなたたち喧嘩でもしたの?」

夕食時、微妙な雰囲気に鋭く気づいたのはお母さんだった。

「そんなこと無いわよ」

私は慌てて言い繕うが、潤は何の反応もしない。
黙って、食事に箸を運んでいるだけだ。

「……潤?」

声を掛けると、ようやく私に気づいたかのように、その視線を投げ返してくれた。

ふうわりと、微笑む顔はいつものものだ。

けれど。

「ゴメン、今日はなんだか疲れているみたい」

そういって、全てを遮断するかのように急いで食事をかきこむと、潤はさっさと食卓を後にした。

「あらー」

その背中を心配そうに見送った後、まるで女友達と恋の話でもするような視線を私に送る。

「で、何があったのよ、あなたたち?」

「何も無いわよ」

何かあったなら、こっちが知りたいくらいだわ。
私も急いで食事を終え、二階に上がった。
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