悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「そうか」

そもそも、あまりニバスの話には興味がなかった魔王は、さくっと話題を替えた。

「ところで、次は、日本に生まれる可能性が高まったと、今日、ルシファーから報告があった」

ルシファー。
腰までの長い金髪を纏った、性別不明で自らを神と名乗る人物の美しすぎる容姿がニバスの頭に過ぎる。

遠い昔天界から堕ちてきた天使は、いまや魔界で神として君臨していた。

そして、その完全無欠のルシファーは何故か、ネオ・アスモデウスのことがお気に召してならないのだった。

そもそも、魔王の父である大魔王が、人間界から堕とされた彼を引き受けると決めたとき、アスモデウスの席が空いているからと、そこに彼を入れるよう手引きしたのもルシファーだった。

元のアスモデウスとは似ても似つかぬ美形がその名を襲名したことに、周りのものは少なからず度肝を抜かれたはずである。

よって、区別をつけるため多くのものは彼を、その名を継いで千年近く経とうとする今でも尚、【ネオ(新)・アスモデウス】と呼んでいるのである。

ちなみに、ルシファーだけは頓着がないらしく(あるいは、執着しすぎて他のものと呼称を代えたいだけかも知れぬが)、アスモデウスと呼んでいるようだった。

「日本……ですか?」

聞きなれない名前に目を白黒させる。


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