悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
私の後ろを黒い影が横切った、気がした。
つられるように目をやり、思わず叫びそうになって慌てて唇を塞いだ。
今朝から、うちのリビングやら私たちの前やらに当然のように居た黒づくめの男がその腕に志保さんを抱いて歩いているのだ。
志保さんは気絶でもしているのか、ぐったりとしてみじろぎ一つしない。
女性は、それを見てまるで幽霊でも見たように青ざめてしまった。
極上美形男は、まるでガラス玉を思わせるような感情の無い瞳で女性を一瞥する。
それから、低い声で言った。
「次に同じことをしたら、命はないと思え」
離れている上に、当事者でない私の心の奥にすらずっしり響くような冷酷な低い声。
現に、ドレスアップしている女性がへなへなとアスファルトの上に座り込んでいくのが見えた。
道行く人々は、テレビのロケとでも思っているのか、やや遠巻きにその様子を眺めているだけだ。
だとしたら、私は。
関係者なのかしら、それとも。
無関係な、エキストラ?
つられるように目をやり、思わず叫びそうになって慌てて唇を塞いだ。
今朝から、うちのリビングやら私たちの前やらに当然のように居た黒づくめの男がその腕に志保さんを抱いて歩いているのだ。
志保さんは気絶でもしているのか、ぐったりとしてみじろぎ一つしない。
女性は、それを見てまるで幽霊でも見たように青ざめてしまった。
極上美形男は、まるでガラス玉を思わせるような感情の無い瞳で女性を一瞥する。
それから、低い声で言った。
「次に同じことをしたら、命はないと思え」
離れている上に、当事者でない私の心の奥にすらずっしり響くような冷酷な低い声。
現に、ドレスアップしている女性がへなへなとアスファルトの上に座り込んでいくのが見えた。
道行く人々は、テレビのロケとでも思っているのか、やや遠巻きにその様子を眺めているだけだ。
だとしたら、私は。
関係者なのかしら、それとも。
無関係な、エキストラ?