悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「で、お前はいつまでそこに立ち尽くしてるんだ?」

低い声に呼ばれ、弾かれたように顔をあげる。
どうやら、エキストラ説は却下されたみたい。

「その。
 志保さん、大丈夫なんですか?」

「空を飛んだショックで気を失っているだけだ。
 心配ない」

心配、おおありなんですけど。
あの。
空を飛んだって、今、さらりとおっしゃいませんでした?

目を丸くして、会話を続けることが出来ない私に呆れたのか、黒づくめの美青年はその視線を潤に投げた。

「もう帰る。
 彼女を無事に送り返してやってくれ」

そういうと、ぐったりしている志保さんを潤に手渡した。


ズキン――

その光景を眺めるだけで、心臓に痛みが走る。


……私って、おかしいのかしら。
病人を介抱しているだけって分かっているのに。

その腕に他の子を抱かないでって、思ってしまう。
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