悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「それって、めでたいの?」

私は思わず口を開く。

「だって、昔話はそうやって終わるんだろう?」

きらりと輝く潤の瞳は好奇心に満ちていた。

「そう、だけど」

「だからこれでいいの」

強引に言って潤は立ち上がり、私の手を引っ張った。

「冷えてきたんじゃない?
 そろそろ帰ろう」

その言い回しが少しばかり引っかかる。
潤は、この肌寒さを感じる機能がないのだろうか。

私の疑問に気づいたのかなんてことないように潤は唇を歪めた。

「魔界は――そうだな。
 平均気温が北極並だと思ってもらえればいいよ。
 とはいえ、熱いのも平気なんだけどね」

「そう、なんだ」

だから、何か良くないことが起こる前触れには、ゾッとしたし、寒気が走ったりするのかもしれないわね。
あれは、魔界から良くないものが来る前兆なんだ――。

なんてことをぼんやりと考えて、私はなんとなく納得してしまった。
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