悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「わざわざ、そんなことで授業抜け出してきたの?」

がらり、と。
音楽準備室のドアが開く音がして、甲高い新山先生の声が響く。

私はとっさに壁の後ろに隠れて息を殺す。

「そんなことって……。
 気になったらもう、何も手に付かなくて」

ドキン。
と、心臓が跳ねたのはその声が私の良く知っている人のものだったからだ。

――潤?

「あぁら、子供なのに先生をからかうのね?」

「仰いますね。子供かどうか、試して見ます?」

な、何?
この、場違いなほどのオトナの会話は……。

ここは、高校の校舎よね?
まかり間違っても、ホストクラブのVIP席なんかじゃなくって。


私は跳ね上がる心臓を抑えながら、気づいたら二人を尾行していた。
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