悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
短い。

たった三分にも満たない時間。



だけど。
ここに私のありったけを詰め込んだ。

届くといいな。


あなたの耳に、その心に。
私の気持ちが、全部、全部。


ちゃんと、真っ直ぐに伝わるといいな。


会場に、潤しか居ないってわけじゃないのに。
そのために与えられたステージでもないのに。


私の気持ちも、指の動きも。
全て、この曲の全ては。


潤のためだけに奏でていた。
きっと、あの日、音楽室で彼に逢ってからずっと。

私はそうすると決めて練習してきたんだと思う。
無意識の、うちに。


そうとしか思えないくらい、この短い時間。
頭の中には潤のことしかなかった。



だから。
演奏が終わった後、過剰な拍手と一緒に潤の「Brava!」って声が聞こえたときには、泣いちゃうほどに嬉しかった。
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