悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
いつもと変わらぬ、丁寧なお辞儀。
従順な下僕の証。

……いつから?

もう、思い出せぬほど昔から。

……いつまで?

きっと、永遠に。

ジュノは、キョウの下僕であり続けるに違いない。


キョウはふっと、その整った顔に、百合亜以外のモノには見せることもないような慈悲深い笑みを浮かべた。

「魔王様?」

ジュノの顔が驚愕に歪む。

「お前に暇をやろう。
 そうだな、向こう50年。
 好きに使うといい」

「……は?」

意味が分からなくて、ジュノは首を傾げる。

「例えば、そこの遅咲きの桜を見に行く、とか。
 きっと面白いものが見れる」

「……魔王、様?」

何が待っているのかは、知らない。
だけれど。
ジュノには心当たりがあった。

自分がその桜を忘れられないように、きっと。
この世界にもこの桜を忘れられない人が、居る。

少なくとも、一人。
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