悪魔は甘く微笑んで【恋人は魔王様 番外編◇ドリーム小説】
「50年なんて、そんなにも魔王様のこと放って置けるわけないじゃないですか。
 いつでもおよびください。
 すぐに駆けつけます」

ジュノは丁寧にそう言うと、それを最後にしたかのように少年のように駆け出していた。

「何?」

事情の飲み込めない百合亜は、ただ、目を丸くするばかりだ。
キョウは冷たい顔で言う。

「たまには、ほら。
 ユリアの命の恩人に恩を売ることも、大事だろう?」

「……私、きよみさんにも助けられたことがあるの?」

瞳をぱちくりする百合亜には、やはり、全ての事情は分からない。
けれども、キョウはそれ以上説明する気もなさそうだった。



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