秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「伏せてっ!!」
ユカが言い、俺の腕を引っ張って地面に伏せた。
「なにしっ…」
言いかけた俺は口をつぐんだ。
頭上を何十本もの矢が飛んで行ったのだ。
「この矢…」
アズミが地面に落ちた矢を拾い、呟いた。
「なんだ?」
アレンが聞く。
「この矢、隣国の悪者たちの矢だわ!!」
「本当?」
「間違いない。隣国の者たちの矢は灰色なの。…見て」
アズミがユカに矢を渡す。
「こんなところでお目にかかれるとは…」
ユカが呟き、立ち上がってじっと前を見つめた。
矢はもう来ない。
敵の姿は見えない。
多分、森が深く闇に紛れているんだろう…。
ユカはそう考えた。
「どうする?戦うか、逃げるか」
アレンが言った。
「戦う。仇打ちよ…!!」
殺意の漲る、アズミの目。
「俺も戦うで」
「同じく」
ヒュウガとアレンが私を見た。