秘宝-戦い-第Ⅰ幕
俺は駆け寄り、アズミの肩をゆさぶった。
「ヒュ…ガ…」
「喋んな。しっかり気ぃ持てよ」
アズミが倒れてる!!
私は遠目で様子を見つめた。
だから私、止めたのに。
はっきり言ってこっちに勝算はない。
相手は人数も多いし戦いに慣れている。
しかし、私たちは戦いにも慣れてなければ、さっき会ったばかりだ。
息も合わない。
ここはズラからないと…!!
私は敵の目を盗んで木に登り、アレンのところへ行った。
「アレンッ!」
小声でしかし鋭く、アレンの名を呼んだ。
「ズラかるしかない。木に登って!」
「なんで!?」
「いいからっ!!」
私は有無を言わせぬ勢いで言い、アズミの元へ。
アズミの肩をゆさぶるヒュウガの後ろに隊長が忍び寄る。
「危ないっ!!」
私は木から飛び降り、グサッと短剣で隊長の背中を刺した。
「ぐはっ…」
隊長が倒れる。
指揮官を失ったほかの隊員は逃げて行った。