秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「さっき水汲んでくる言うてへんだ?」
「…え、うん。水筒に水汲んで飲んだの」
危ない、危ない。
「とりあえず行こう?」
「だね!大丈夫?」
「うん」
「なぁ、ユカ。何でさっき隣国の者たちと戦うの止めようとしたんだ?」
「相手は戦いになれてるけど、私たちは慣れてないじゃん?それに、相手のこともよく分かってない。…それと、私たち4人は出会ったばっかりで息合わないんじゃないかって思ったから」
「ごめんね、私の勝手で…」
「アズミだけのせいちゃうで。俺らも戦うゆーたし」
「謝ってもなにも始まらないよ?」
アレンは目を見開いた。
ユカの腕の傷口が開いている…!!
言おうと思ったが、思い止どまった。
…さっき、小川に行った。
あの時、傷口を洗ったのではいないだろうか?
だから、俺たち3人が行ったとき焦ってたのではないか?
そう考えて、聞くのは2人のときにしようと思った。
「今、俺たちに必要なのは…強さか」
「そうじゃない!」
ヒュウガの言葉を否定した俺に視線が集まる。
「今、俺たちに必要なのは…信頼関係だ。自分を信じて、仲間を信じて、そして息を合わせて戦う。…そうしないと勝てるもんも勝てないと思う」
俺の言葉に沈黙が流れた。
「そうね…」
沈黙を破ったのはアズミだ。
「あたしは…アレン、あなたに着いて行くわ。国王としてみんなを引っ張って」
「いや、俺は…戦うときはユカがいいと思う」
「私ぃ!??!」
声の裏返るユカ。
「俺も同感」