秘宝-戦い-第Ⅰ幕
木の中の〝隠れ家〟
「どこにあるんだろ?」
ポツリと呟く、ユカ。
秘宝のことだろう…。
「ねぇ、あたしの村来ない?!」
唐突にアズミが言った。
「アズミの村?」
「うん。秘宝がある場所も分からないでしょ?…だったら一旦、あたしらの村で休もう」
「賛成!毎日毎日、交代で見張りしてたからぐっすり寝れてへんしなぁー」
ヒュウガが言う。
そう、俺たちは3日間、夜は見張りを交代でしながら旅をしていた。
「じゃあ行くわよ」
「おぅ」
アズミとヒュウガが並んで歩きだした。
俺たちも続いた。
「アズミの村って近いの?」
「うん。…あと2時間くらいじゃない?」
「そんなに近いのか!!」
俺は少し驚いた。
俺たち4人は話しながら歩いた。
「血生臭い…」
「え?なんやて?」
「血生臭い。この先、なにかあったんだよ」
アズミの村はもうすぐだというところでユカが言った。
「人ではないような血の臭いがする」
「用心しねーとな…」
俺は腰の長剣に手をかけた。