秘宝-戦い-第Ⅰ幕
その時、スズランが青い光を放ちながら大きくなった。
「乗るよ!」
ユカがスズランに跨る。
俺も続いた。
アズミとヒュウガは戸惑っている様子。
「早く乗れ。…村が心配なんだろ?」
俺の言葉にアズミは頷くとスズランに乗った。
「ヒュウガも早く乗れ」
ヒュウガのスズランに乗り、ユカの声でスズランは飛び立った。
村が近づくにつれ、アズミにも血の臭いが分かった。
動物と人間の血が混ざったような臭いがする…。
アズミは村が心配で心配でたまらなかった。
…前にいる、ユカがハッと息を飲んだ。
そして、顔が曇った。
「どうした?」
アレンの問いにユカは黙って村の方向を指差した。
「え…」
視力のいいヒュウガが言葉を失う。
あたしはようやく、ユカとヒュウガが見たものが見えた。
…村が
なかった。
家は壊れていた。