秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「確かに。…誰かが私たちが村に入ったのに気付いて、手紙を窓から入れたのね…」
ユカが頷く。
しばらくして、アレンが声を上げた。
「これ、文字をずらしてるだけだ」
「「「え?」」」
「平仮名を50音並べて、その隣の文字を書いてるんじゃないか!?」
「なるほど…。だったら、『し』は『き』と『に』ね!」
「『ほ』は『の』と『も』やな!!」
「それじゃあ、言葉が2つになって余計分からないわ」
「いや…。文字の最後に右向きの矢印があるから、多分…右の文字が正解だ」
「きの…うえ。は…やく…こい」
あたしは声を上げて読んだ。
そして、息を飲んだ。
―木の上。早く来い―
あたしは木を見つめた。
この村は四方を森で囲まれている。
「行こう!」
勢いよく、ユカが立ち上がった。
「「おぅ」」
アレンとヒュウガが同時に立つ。
「あたしが先に行くわ」
あたしは先頭に立ち、登りやすそうな木を選び、木に登った。
「一応…用心しなきゃね」
ユカが腰の短剣を抜き、口にくわえた。