秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「村は?」
俺は問いかけた。
「村は崩壊してましたね?
私たちは隣国の者たちが攻めてくると分かったとき、森へ逃げ込み、この隠れ家を造ったのです。…私たちには戦う能力は殆どないですから」
隠れ家…?
「私たち4人が枝に座ったら、枝が折れたのは何故?」
「折れてないわ。バネを伸ばして、あなたたちを落としたのよ」
「危ねー」
ボソッと呟く、ヒュウガ。
「手紙も…あなた方が?」
「えぇ。アズミが居たので味方だと思いましたから」
「味方って分かったんなら出てきて声かければいいじゃん」
「隠れ家を完成させるまでは外へ出ないと決めたのよ」
アズミと母親は歩いて行った。
「これからどうする?」
ユカが問いかけた。
一刻も早く、ここから出たいのだろう…。
俺も同じだ。
くつろいでる時間はない。
「寄り道せなしゃーないやろな…」
ヒュウガが言った。
「私、この空気無理。スズランと外行っててもいい?」
「みなさん、お食事をどうぞ。道中も聞かせて下さいな」