秘宝-戦い-第Ⅰ幕


アズミは隠れ家の出入り口に居た。


「アズミ」

ユカが声をかけた。

「なによっ…!?」
「…アレンの母親、嘘ついてるよ」


…は?

嘘…!?

「どういうことや?」

ヒュウガの問いかけに息を吸い込み、話し出した。

「アズミの母親は“私たちに戦う能力は殆どありませんから”って言ってたのに、私たちが食事した部屋に弓矢が大量にあったでしょ?」

「…そうかっ!!そうだったのか…」

俺は今、気づいた。

「なんなん?」

「弓矢の色、灰色だった。…隣国の者たちと一緒だ!!」

ヒュウガとアズミがハッとする。


「考えてみてよ。私たちが戦った隣国の人たち、喋らなかったでしょ?」

「喋ると声でバレるからか…」


居心地が悪かった理由が分かった。


…俺たちは隣国の悪者たちと食事してたんだ!!


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