秘宝-戦い-第Ⅰ幕
夜の寒さを凌ぐため、ユカが薪を集めに行った。
俺は傷口のことを聞くチャンスだと思ってユカに続いた。
「ユカ…腕…」
俺の言葉にユカは慌てて傷口を抑える。
「俺、見たんだ。隣国の者たちと戦ったあと、傷口が開いているの」
「そう…」
「大丈夫なのか!?」
「今は大丈夫」
ユカはそう言って、せっせと木の枝を拾い集めた。
「川に行ったのも、傷口を洗うためだろう?」
「アレンにはバレバレだね」
苦笑いして、立ち上がるユカ。
「無理…するなよ」
「無理しなきゃダメでしょ」
軽く言い、微笑んでユカはヒュウガとアズミの所へ歩いて行った。
俺も木を集め、ユカに続いた。