秘宝-戦い-第Ⅰ幕
ユカの勇気はとても大きい。
人間界から来たとは思えない。
「なぁ、忍び込むってどうするん?」
「それが問題なの。窓がなかったから」
「じゃあ、出なくて良かったんじゃないの?」
「いや…あのまま居たら、なに食べさせられていたか分からないだろう?…だから、出て来て正解だ」
まだ、アズミの母親たちが悪者だって決まったわけではない。
しかし、現時点ではそう思わざるを得ない状況だ。
灰色の弓矢…
しかも、大量に。
それに、少しだが血の匂いがしたような気がする。
「あのさぁ、俺…あの隠れ家、血の匂いしたような気ぃすんねんけど」
「本当か!?俺も思ったんだ」
ヒュウガの言葉に身を乗り出して言った。