秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「行こう」
俺の声で俺たちは木を登り、隠れ家の屋根らしきところに立った。
「こうやって見ると、結構分かりやすいな」
「確かに」
ヒュウガの言葉にユカが頷く。
「私が探すわ」
アズミが静かに慎重に歩き出す。
「…あった。ここよ」
探し出して10分程したとき、アズミが囁いた。
アズミが指差したところには小さな穴が。
「任せて」
ユカが腰の短剣を抜き、刃先を穴に当て、ゆっくり削って穴を広げ出した。
時折、中の物音に耳を澄まし削り進めるユカ。
しばらくすると、人が1人通れる程広がった穴が開いた。
「私が先に行く。…剣、引っかかるかな」
ユカが持っていた短剣をシャツの下の背中の腰の部分に挟んだ。