秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「アーシャン様、こいつらが所持していた武器です」
アレンとヒュウガの長剣、私とアズミの長剣と短剣がアーシャンに渡された。
「それを返せっ!!」
アレンが叫ぶ。
「…あ」
アレンが小さく呟いた。
…アレンも気づいたようだ。
私の短剣が1本のことに…。
「返す?返してどうするの?あなたたちはこのまま火の中に飛び込んでもらうわ」
火の中?
ふざけんな。
「お母さん!目を覚まして!!」
「目を覚ますのはお前だ。人間め」
アーシャンの体が膨れ上がり、巨大な火トカゲの妖怪に変身した。
「なんや?」
「妖怪よ!アズミの母親、妖怪だったの」
状況が見えないヒュウガの問いにユカは小さな声で答えた。
そして、暴れて緩かったロープの結び目をほどき、静かに短剣を抜いた。
「な…」
「分かった?わたしは母親じゃない。分かったら、あなたたちは火になってもらうわ。火こそ、私のパワーよ」