秘宝-戦い-第Ⅰ幕
アレンは少女を城の図書室へと連れて行った。


「わたくし、国王のアレンと申します。
あなた様の名前は?」

「あー…丁寧語とか堅苦しいし、タメで喋って♪
私、佐藤有香」

サトウユカ?

シャリアンではない…

いや…人間だから、サトウユカという名前なのだろうか?

「ユカ様、あなたはどちらから、ここへ?」

「有香でいいから。
私、このネックレスとブレスレッドをつけた瞬間、光に包みこまれて…
服装もこんな風になった。
気がついたら、ここに…。
ってか、アレンさんは人間じゃないの?」

「わたくしも人間です。この街の住人は殆ど…。
しかし、わずかな人が人間ではありません。
変装を得意とする、妖怪の仲間です」


妖怪ぃ!?

恐るべし、人間界の裏側の国…


「…でさ、なんで私はここに居るわけ?」

「あなたが…選ばれた者だからです」

選ばれた者?

まぁ、なんでもいいか…。


私は基本、大雑把で呑気でのんびり屋。
そして、マイペース。

バタンと図書室の扉が開いた。

息を切らした、男が居た。

「アレン様っ!
妖怪が出ております!!」

「何!?
ユカ様、ここで待ってて下さい」


アレンはそう言うと、走って図書室を出た。


「待っててって言われたら、行きたくなるのが人間でしょ」

有香は呟くと、アレンを追った。
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