衆道剣風録~契りの剣 四 決死!天寧寺!
十九
落馬した庄左右衛門にとどめを刺そうと緊那羅(きんなら)は近づいた。
背中から落ちた庄左右衛門は、腹の傷を押さえて慌てて槍を握った。
「武田のくたばりぞこないめが!地獄へ行け!」
その時、境内の中頃に歩いて近づいてきた善吉が緊那羅の目に入った。善吉が右手の竹を緊那羅の方へ突きだした!飛鳥の声とも思える気合いが鼓膜を震わせた!
「喝!」
「うぐっ!」
善吉が目の前に来た様な気がした。
八艘に刀を上げた身体が一瞬動かなくなった!
「庄左右衛門様!」
振り向くと八艘に構えた静音が駆け込んでくる!
「うぬ!」
斬られても骨を断つ!緊那羅は静音の顔に向けて、肩を廻して太刀を水平に振った。だが、善吉の気合いで心が落ち着かず、振るその剣は達人のものでは無かった。
それが静音に当たる寸前、ふっと静音は消えた。下に沈み込んだのだ。
後ろから庄左右衛門の槍と、前から静音の剣が、緊那羅の腹に刺さるのが同時であった!
背中から落ちた庄左右衛門は、腹の傷を押さえて慌てて槍を握った。
「武田のくたばりぞこないめが!地獄へ行け!」
その時、境内の中頃に歩いて近づいてきた善吉が緊那羅の目に入った。善吉が右手の竹を緊那羅の方へ突きだした!飛鳥の声とも思える気合いが鼓膜を震わせた!
「喝!」
「うぐっ!」
善吉が目の前に来た様な気がした。
八艘に刀を上げた身体が一瞬動かなくなった!
「庄左右衛門様!」
振り向くと八艘に構えた静音が駆け込んでくる!
「うぬ!」
斬られても骨を断つ!緊那羅は静音の顔に向けて、肩を廻して太刀を水平に振った。だが、善吉の気合いで心が落ち着かず、振るその剣は達人のものでは無かった。
それが静音に当たる寸前、ふっと静音は消えた。下に沈み込んだのだ。
後ろから庄左右衛門の槍と、前から静音の剣が、緊那羅の腹に刺さるのが同時であった!