ありがとう、
「ねえねえ、志乃?」


「なに?」

生クリームとチョコレートのたっぷり入ったクレープをほおばりながら、小百合はあたしを呼んだ。


「そろそろ、あの人に話しかけてみたら?ノリよさそうだし。話せばきっと仲良くなれるよ。」

確かに見た目は軽そうだし、ノリがいいってのも事実。


けれど、違うんだよ。

あの人はちゃんと人をわかっている。簡単に恋なんてしない。

冗談で付き合ったりとか、誰とでも付き合うとか、そんなことはしない。


「そのうちね。」

自信がない。

あんな冷たい瞳で見られたら、あの子みたいに立ちすくむことしか出来ないだろう。

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