バレンタインの奇跡
「…っ、」

"おかえり"って言いたかったのに、
声にならなかった。

涙が邪魔をして、圭吾の瞳がよく見えない。


「ほのか、」

「い、いつ帰って来たの?、っく。」

「昨日の夜。
連絡しなくてごめんな?」

そう言いながら、私の涙を拭った。


「ここ来たら、ほのかソファーで寝てるし。

これ握ってたし。」

圭吾は、ジーパンのポケットから鍵を取り出した。


「あっ。」

「ずっと持っててくれたんだな。」

「だって…っ、
約束したから。」


< 20 / 29 >

この作品をシェア

pagetop