月と太陽の事件簿3/ツといえばカ
警視庁捜査1課会議室
「以上が第1発見者の証言だ」

2係の岸警部は、事件現場を記したホワイトボードからあたしたちへと視線を移した。

長身で横幅もあるため、口の悪い同僚からは密かに「冷蔵庫」と呼ばれている人だが、実際は頼りになる上司だ。

「状況から考えて、顔見知りの犯行である可能性が高い」

被害者の小泉秋保が刺されたのは奥のリビング。

つまり犯人を部屋に招き入れたと考えられる。

何よりも彼女が犯人の名をダイイング・メッセージとして残したことが何よりの証拠だ。

あたしは捜査資料の中にあった小泉秋保の写真を見た。

赤い髪ばかりに目がいくが、顔だちは綺麗に整っていて、清潔感があった。

知り合いの犯行だとしたら、こんなコが一体どんな恨みをかったというのだろう。

理不尽な事件に心の中でタメ息をつく。

その時、会議室のドアが開いて、黒スーツの男が顔をのぞかせた。

色白で、整った顔だち。

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