魔王さま100分の2
「それは、私が」
ヘナが進み出た。
小柄な少女。
エミリオに、話を伝えにきた受付によれば、
姿は怪しいが、神の信徒でかなり高レベルの治療術をみせたという。
その話と待合室での元患者達の様子から察するに、エミリオよりも数段高ランクの僧侶だ。
ヘナは、エミリオの前に立つ。
自分を覆っていた頭巾とローブを脱いだ。
「……なんとっ!!」
頭巾の下から現れるのは、
銀色に輝く髪、汚れなく透き通った肌、それよりも深く透き通る瞳。
そしてローブが外れた背中から、
美しく真っ直ぐ伸びる白の翼と、
途中で完全に捻れ千切られたやはり白の翼が、一対で広がる。
「片翼の天使が魔族とっ!?」
エミリオの驚愕の声が響いた。
──魔王さまと診療所 終わり