魔王さま100分の2
夜。
人々が夕食後の団欒を解き、眠りにつくような時間。
アイオネも、自分が世話する魔王さまに一晩の別れを告げていた。
「おやすみなさい魔王さま、明日の朝、また来ます」
「おやすみ、アイオネ。寂しくなったら、夜中でも来ていいからね」
塔の出入り口を挟んで話すふたり。
「私が深夜にここに入るときは非常事態ですので、ちゃんと私の言う事を聞いてくださいね」
「非常事態になればアイオネが来てくれるのか、なにか起きてくれるといいなあ」
「期待するのは自由ですが、何もないなら朝まで大人しく寝ていてください。くれぐれくも私が来るまでに上のハシゴに登らないように」
「ふふふ、分かった」
素直な返事だけど、絶対に分かっていない声。