魔王さま100分の2
「うむ、ヘナと合流したらうんと褒めてやらないとな。キーヤは、おまえに任せた」
「……そのあたりは後ほど。行きますよ」
背の高いほう、シルキスは、
背の低いほう、魔王さまをシャチごと抱きあげた。
「なぜ抱く?」
「一応敵地ですので、念のため。お許しを」
「うむ、許す」
魔王さまは、シャチごとシルキスの胸にもたれた。
「あと、そのシャチはやはり置いていきませんか?」
「それは許さん。これは外を知らない別の私への土産だ」
「喜んでくれますか?」
「さあな。喜ばないなら、持って帰ればいい」
魔王さまの行動は、いつも明快だ。
「さあ、いけ。私に会いにいくぞ」
魔王さまの号令。
シルキスは周囲を警戒しつつ、魔王さまを胸に、門までの道を進んだ。